【2022.01.22】KIFAボランティア研修会「減災のためのやさしい日本語」
刈谷市国際交流協会では、毎年ボランティアのスキルアップを目的とした研修会を開催しています。昨年に引き続き今年のテーマは「やさしい日本語」。今回は減災の視点から、災害が発生したときに外国人住民にどのように情報を伝えればトラブルを避けお互いに助け合えるかを考えました。
日時:2022年1月22日(土) 10:00~11:30
場所:オンライン(ZOOM)開催
講師:髙木 祐子さん(NPO法人多文化共生サポート Adagio 代表理事)
刈谷市が位置する西三河は県内でも特に外国人住民が多い地域。また永住者ビザを持ち日本でずっと暮らしていく外国人は年々増えており、外国人市民とよいコミュニケーションを取っていくことが必要です。
日本で暮らす外国人の日本語能力についてのアンケート結果によると、ほとんどの外国人住民が簡単な日本語を聞いて理解することができます。また読むことに関してはひらがな、カタカナを読むことができる外国人は7割近く。難しい漢字になると理解できる人は4割ほどに減少します。こうした結果からもゆっくり簡単な言葉を使うやさしい日本語の必要性が分かります。
やさしい日本語が特に活用できるのは災害時。情報を外国人にもわかりやすく伝えられます。
しかし、やさしい日本語を必要とするのは外国人だけではありません。聴覚が衰えた高齢者や障がいのある人、子どもにとってもやさしい日本語は理解しやすく、情報を明確に伝えることができます。
また緊急時には、日本人の一般的な大人でも言語能力が小学4年生程度まで低下すると言われています。実際に東日本大震災を経験した髙木さんの知人は、被災時に建物の中で流れていたアナウンスの中で「外に出てください」しかわからなかったそうです。
思いやりをもって(優しい)、わかりやすい言葉を使う(易しい)やさしい日本語は、日本で暮らす誰にとっても「やさしい」言葉です。
ではどのようにやさしい日本語をつくることができるでしょうか。
まずは単語のポイント。
・音読みは訓読みに。例えば「入場」→「入る」のように言い換えると簡単になります。
・カタカナ語は避ける。元の意味と違った使い方をしている場合があるため要注意です。
・擬音語、擬態語は使わない。「雨がざーざー降っている」など小さい頃から日本語を使っている人にとっては状況を把握する助けになる擬音語、擬態語ですが、外国人にとってはとても難しい言葉です。
次は文章の作り方です。
・必要な情報だけを伝える。たくさんの情報が詰まっていると、何が大切なのか見えにくくなってしまいます。
・不足している情報の追加。例えば、場所の名前のあとに住所や電話番号を追記すると、検索しやすく優しい文になります。
・出来るだけ短文に。
・主語、述語をはっきりさせる。"誰が""何をするのか"をはっきり伝えましょう。
・分かち書きにする。文章を 文節(いつも"ね" 日本語を"ね"など、文章の中で"ね"を入れて違和感のない一区切り)で 区切って スペースを 空けると 読みやすく なります。
やさしい日本語の作り方を一通り学んだところで、実際にグループに分かれて避難所で想定される場面をどうやってやさしい日本語にできるか考えました。
場面は「ご自由にお持ちください」と書かれた張り紙と机の上に置かれたおにぎり。
これを見た外国人はどんなことに困るでしょうか?起こりうるトラブルは何でしょう?
「1人何個まで、と書いておかないと家族や友人の分も、と沢山持って行ってしまうかも」「宗教上の理由で食べられないものがある人にとっては、何が入っているかわからないと不安」などたくさんの意見が出ました。
やさしい日本語に正解はありません。ですが難しく考えずに相手の立場になって考えることからやさしい日本語、そしてよいコミュニケーションが始まります。どうやったら伝わるんだろう、と悩んだら他の人と一緒に考えてみると「そういう言い方もあるのか!」と新たな気づきを得ることができます。
終了後のアンケートでは「大切なのは相手を理解しようとする気持ち、というのは外国人だけでなく自分に関わる全ての人に言えることだと思った」などの感想をいただきました。今回の講座が、外国人住民と良いコミュニケーションについて考えるきっかけになれば嬉しいです。